ホペイロの憂鬱 JFL篇 (創元推理文庫) | |
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このシリーズを知ったのはつい最近のこと。外出中に読んでいた本を読み終わってしまい、何かないかと本屋にふらりと入ったときに「ホペイロの憂鬱 JFL篇」と出会ったのでした。「ホペイロっつーことは、もしかしてサッカーものなの?」とあらすじを読み、続いて巻末の解説を見ると……。
「解説 山川幸則(FC東京ホペイロ)」
え゛。小説の解説を書いていたなんて、知らなかった……。
(単行本に解説があるかどうかは未確認です。文庫版でどうぞ)
というわけで、即、購入決定。さっそく読みました。いや~、すらすら読めちゃう。おもしろい~!
主人公は、ちょっと気弱な20代の青年・坂上栄作。JFLの「ビックカイト相模原」のホペイロですが、弱小クラブゆえ実質は「雑用係」。このシリーズは、小さなクラブに日々起こるささやかなトラブルを、ホペイロ坂上が解決していくというオムニバス日常ミステリなのであります。
ミステリとはいっても、殺人事件が起こるわけでも、スタジアムで暴力沙汰が起こるわけでもないのがまたいいところ。たとえば、「地元のスーパーに貼った試合告知ポスターが剥がされてしまう理由は?」とか、「監督の勝利のジンクス・クマのぬいぐるみがなくなった!」とか。
でもその問題のひとつひとつがサッカークラブの日常に根ざしているがゆえに、読んでいて共感したりクスクス笑ったりできちゃうんですよね。「いつもひとりで大声で応援しているちょっと迷惑な名物サポ「旗振りくん」の旗を盗んだのは誰か?」なんてね、こういうサポはいそうだよね~なんて思っちゃうんです。
ちょっと頼りなさそうだけど頭がキレる主人公、元寮母さんで洗濯係の老婦人、キツい性格の美人広報さんに、明るくかわいい女子大生ボランティア、そして選手たち(名前で出てくるのは数人だけw)などなど、個性豊かなキャラクターたちが巻き起こす平凡ながらも楽しい日常。現実のほうが殺伐としているから、こういうほのぼのミステリはいいわ~。
で、タイトルをよく見ると「JFL篇」とあるので、「もしかしたら続編があるのかも」と探してみると、8月に文庫化されたばかりの「幸せの萌黄色フラッグ ホペイロ坂上の事件簿 J2篇」がありました。こちらは3年後、ビッグカイト相模原はJ2に昇格し、親会社の環境も変わり、社長も交替しています。しかし彼らの日常は相変わらずで……。
「J2篇」を読んだあと、もしかしてさらに続編もあるのか!?と探してみると、「ミステリーズ!」という雑誌に連載されていました。こちらでは「ビッグカイト相模原」はなんとJ1に昇格しています。ひえ~、トントン拍子に出世しすぎじゃないの!?と、残留争い中のチームのファンはスネてしまうわけですが(笑)、主人公のホペイロ坂上の状況は、やっぱりあまり変わっていないみたいです。
シリーズを通して読んでみると、やっぱり最初の「JFL篇」がいちばんおもしろかったかな。サッカークラブを舞台にする以上、だんだんネタ枯れになっていってしまうし、あまりにほのぼのすぎて「こんなに牧歌的で大丈夫か、このJ1クラブ……」と心配になってしまうので(笑)。
とにかく、FC東京のホペイロさんが解説を書いている「JFL篇」だけは皆さんにおススメ! 後はお好みでどうぞ! 気楽に手軽に読める小説がいいな~というときには、文句なくおススメします。
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