本来、この日は東京の国立競技場で日本代表の親善試合が行なわれるはずでした。11日の大震災と、それに伴う東京電力の計画停電の影響を考慮して、関西でこの試合が開催されることになったのです。
ある意味、歴史的な試合。選手たちはどんな試合であっても真剣に取り組むのでしょうが、この試合に関しては特別な思いをもって臨んだのではないかと思います。
この試合は、言い換えるならば「現日本代表」対「旧日本代表」ともいうべきメンバー構成(一部違いますけど)。Jリーグ選抜のチーム名は「TEAM AS ONE」で、ユニフォームはベガルタ仙台ユニのような色合い、中継映像からは、わたしでも知っている仙台の応援歌が聞こえていました。
大きな災害があったときに、世界のサッカー界がチャリティマッチを行なうことは珍しくはありません。そうした試合を何度もTV画面で見てきました。でも、それを日本代表が、Jリーグ選抜と試合をすることで実現させてしまうとは……。センターサークルで黙祷を捧げる選手たちの姿を見ながら、こんなことで「世界標準」になってしまうなんて……となんともいえない思いを味わっておりました。
登録メンバーの全員を出場させると試合前に明言していたためか、試合は前半から全選手が全力でのプレーを心がけていたようにも見えました。ある意味、ワールドカップ以上に気持ちが入っていたのかも……。シーズン真っ只中にある欧州組の選手たちと、ほとんど試合をしていないJの選手たち……。そうした違いはあっても、彼らがめざすものはひとつだったような。
試合は2-1で日本代表の勝利に終わりましたが、そのハイライトが三浦知良選手のゴールであったことはいうまでもありません。こういう機会にゴールを決めてしまうなんて、まさに日本のサッカーの申し子……。「サッカーの神様っているんだな」と感じさせれる試合は過去にいくつかありましたが、これも間違いなくそのひとつでしょう。
中継の視聴率は仙台地区で25.4%で、募金総額は22,317,199円だったそうです。
サッカーファンのわたしには、この試合が被災地の一般の人たちにどのように受け止められたのかはわかりません。サッカーを見ることで元気を出してもらいたいと思っても、なかなか受け入れられないほどの過酷な現実があるからです。
でも、震災とそれにつながるさまざまな困難で、節電後の都心のように暗く沈んでいたわたしの弱い心に、この試合は大きな活力剤となってくれたことは確かです。たぶん、東日本に住む多くのサッカーファンが、この試合を見て励まされ、勇気づけられたのではないかと思います。
震災を受けて、いち早くこの試合を企画し、実現させた多くのスタッフに感謝を。放射線被害を恐れて多くの外国人が日本を退去する中、来日して指揮をとってくれたザッケローニさん&ストイコビッチさんにも感謝を。厳しいスケジュールの中、欧州から帰国して精一杯の試合を見せてくれた選手たちにも、Jの選手たちにも、全国から集まったサポーターたちにも感謝しなければなりません。
この試練も、この涙も、いずれ大きな樹となり実を結ぶことを信じて……。
改めて「You'll Never Walk Alone」という歌詞を噛み締めた一夜となりました。
◆
この試合、スカパーで再放送が決定しています。実況・解説陣は日テレと同じですが、中継映像をもっと長く放送してくれるといいな~とひそかに期待してたりして。
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