観察眼 (角川oneテーマ21 A 149)
遠藤 保仁 今野 泰幸

この本は「角川Oneテーマ21」という新書の一冊。200ページ余りの本は、3部構成になっています。第一部が「今野泰幸の『観察眼』」、第二部が「それぞれの『観察眼』」、第三部が「遠藤保仁の『観察眼』」。第一部の今ちゃんパートが、全体の半分近くを占めています。
文体は今野選手の一人称の語り口調なので、非常に読みやすくなっています。サッカー雑誌のインタビューページを延々と読んでいるような感じ。プロになる以前や代表での話もありますが、FC東京での話題も非常に多いので、東京ファンなら読んでも損にはならないでしょう(取材は、東京の優勝が決まった後に行なわれたようです)。
09年にセンターバックにコンバートされた時の話(「悔しくて泣いてしまいました」)や、J2降格、キャプテンの役割などについて語っているあたりは必読かな。読んでいるうちに、一昨年降格した理由の一端が浮かび上がってきたような気もしました(金曜発売のエルゴラの大熊監督インタビューも併せて読むのがおススメです)。
ただ一週間、なんとなく練習をして、なんとなく試合をして、気が付いたらJ2に落ちていた。(p.68)
選手のみのミーティングが、社長命令で始まったことも書かれています。「やらされてる感」のあったミーティングが次第に実のあるものになり、チームキャプテンとして監督に進言しに行くようになった話とか……。昨年、次第に強くなっていったのは、こうして「チーム」になっていったからなのでしょうね(逆に、昨年まではそんなにもダメだったのか~と思ってしまった)。
センターバックを言い渡されたときは「腹が立った」今野選手ですが、城福さんのことは「サッカーを教えてくれた人」として感謝の気持ちを抱いているそうです。長友選手のときもそうでしたが、城福さんは東京の選手たちにすごく多くのことを教えていってくれたのですね……また、カリスマ性もありました。
でも、それゆえに選手たちは「監督についていけばいい」と思うようになり、あまり自分で考えないようになっていってしまったのかもしれません。当時のことを思い出しながら読むと、「そうだったのかな……」といろいろ気付かされることが多かったです。
将来のことについては、もちろん書かれていません。が、センターバック1本で勝負していきたいこと、移籍を決めるポイントは、移籍先で自分が選手として成長できるかどうかによること(監督も重要な要素らしい)……などが語られています。もちろん、J1で優勝争いをしたい、ACLを戦ってみたいということも。
今年、チームキャプテンをまかされて、明らかに成長したと語る今野選手。東京がJ1で優勝争いをするかどうかは未知数ですが、ACLに出場することはすでに決まっています。
そして監督については、ガンバよりも東京の方が!?と個人的には思ってしまうのですが、どうなのでしょうか(今野選手が影響を受けたという3人の指導者は、岡ちゃん、オシムさんと城福さん。ポポヴィッチさんはオシムさんの直系ですからね~)
すでにガンバ入りが確実だと報道されていますが、正式発表が遅れているのも気になります。その昔、城福さんの言葉で一転して残留を決めたように、「もしかしたら」があるのかも?なんて期待しちゃうんですよね……。
もっとも、今野選手がどんな決断をしようと「今までありがとう」ということだけは変わりません。ただ、東京を離れることが正式に決まってしまったら、この本を読む気がなくなってしまうかもしれないので、興味のある人は早めに読んでおくのがよろしいかと思います(笑)。
*おまけ*
東京の選手個人についての言及は少ないのですが、なぜか3回も名前が登場しているのが「草民」。代表のことしか知らない人が読んだら「草民って選手、若いのに今野さんにタメ口で礼儀知らずだなー」と思っちゃうのでは(笑)。
え~、実はまだ「第二部」「第三部」は読んでおりません。第二部は代表での話だしなー。もしかしてこのまま放置かも!? しかしなぜこのペアでの「共著」になったんだか(仲がいいのはわかっていますが)。
早く決めてもらわないと、劇場版「名探偵コナン」のキャラの色指定が……(笑)。変更は面倒だから、残留しようそうしよう!
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