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サッカー 誰かに話したいちょっといい話

「これ、ちょっといい本だよ」と薦めたくなるサッカー本が、この「世界中から集めた サッカー 誰かに話したいちょっといい話」だ……正式タイトルがものすごく長いけど(笑)。


サッカー誰かに話したいちょっといい話―世界中から集めた
サッカー誰かに話したいちょっといい話―世界中から集めたいとう やまね

東邦出版 2008-12-05
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足掛け4年もエルゴラッソに連載されていた「世界サッカーの風景」の中から選ばれた25エピソードがここに収録されている。テーマは、「子供時代のサッカーの思い出」。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南米といった世界中の人々が、自分の子供時代の思い出を語ってくれている。

それぞれのエピソードは8ページほどと短く、文章も抑制の効いたシンプルなものなのだが、読んでいるうちに不思議なことに、語り手たちの子供時代が浮かんでくるような気がしてくる。思い浮かべようにも、外国の風景なんて知らないからわからないはずなんだけど、そのあたりが何ともうまいのだ。
話してくれた人々は、今は大人になってフツーの生活をしている人ばかりだ。プロサッカー選手になった人はいない。それでも、彼らの中でサッカーの思い出はずっと輝きを失わない。こういうことを思い出せる子供時代を送った人は幸せだと思う。

短いエピソードの中に、それぞれの主人公のサッカーへの思い、現在の生活、さらには彼らの祖国とサッカーについてのちょっとした薀蓄まで入っていて、一粒で3度くらいおいしい本。読みやすさのわりには、中身はとっても濃いのである。

全25のエピソードのうち、どの話が好きなのかで、読んだ人の性格なんかがわかりそうなものなので、それらを比べてみるのもおもしろいかもしれない。ちなみに私のお気に入りは、ラストの日本の話。半隠居みたいな生活をしているワタクシならではのチョイスである(笑)。

実をいうと少女時代は病弱(←ホントですよ!)で運動はほとんどできず、身体を動かして楽しいと思ったこともないもので(倒れたことはあるけど)、「暗くなるまでボールを追いかけた」みたいな子供時代の記憶をもっている人のことはちょっとうらやましいと思ったりもするのだけどね(その反動で、今は暗くなるまで自転車を乗り回しているのである(笑))。

ちなみに、この本を買ったのは新宿駅の駅ナカの書店。そのまま「スーパービュー踊り子」に乗って伊豆へ行ったため、南伊豆の海岸で潮風に吹かれながら1エピソードずつ大切に読んでいったのだけど、冬の青空の下で読むこの本は格別だった。この空の下のどこかで、今日もボールを蹴っている子供がいるんだろうな、なんて思いを馳せることができたから。

読む側も「ちょっといい」気分になれる、珠玉の本なのだった。

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