![]() | セカンドウィンド〈2〉 (ピュアフル文庫) 川西 蘭 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() by G-Tools |
自転車好きの田舎の中学生・溝口洋が、自転車レースのエリート軍団「南雲デンキ自転車部」と出会い、才能を認められ、やがてロードレースに目覚めていく……というところで1巻目は終わっていた。
しかも、重要レースがスタートしたところで「以下続刊」だったのだ。読者は宙ぶらりんのまま時を過ごし、私などは記憶力がザルなので、ストーリーから何からすべて忘れてしまい、2巻目を読む前に自分のブログを見直したり(笑)、1巻目を探し出すのに悪戦苦闘したりしていた。連続ものの小説であれば、できれば1年以内に続刊を出してほしいものである。
そんなことはどうでもいいとして、第2巻である。
驚いたことに、第2巻が出るまでにかかったのとほぼ同じ時間が、小説の中でも流れていた。中学3年だった洋は、高校2年。しかも、エリート自転車部をもつ「南雲学院」の生徒である。才能が認められて特待生として入学できたのか、自力で試験を勝ち抜いたのかはわからないが、ともかくたいしたものだ。
年齢が少し大人になったせいか、主人公にも変化があった。今までは、自転車にさえ乗っていれば幸せという「自転車バカ」だったのだが、だんだんそう思えなくなってきてしまうのである。いってみれば「スランプ」だ。第2巻は、洋がスランプに陥り、そこから抜け出し、新たな光明を見いだすまでの物語である。
南雲デンキは大企業で、自転車メーカーでもあり、自前の実業団チームももっている。周囲は企業城下町といった感じの広大なニュータウンになっていて、近くに海や険しい山もあれば、自転車レース会場になるような広大な公園もあるという恵まれた環境。エリート男子校「南雲学院」と、姉妹校の「清海女子学院」は、南雲デンキの経営だ。
その南雲学院は全寮制で、日々「ハリポタ」みたいな楽しい寄宿舎生活が繰り広げられている(笑)。中には飛び級で進学してきたひ弱な超エリートもいれば、会長の孫で非の打ち所がないイケメン自転車部主将もいる。
一方の女子高のほうには会長が溺愛する孫娘(美少女)はもちろん、きらびやかなお蝶夫人みたいな女生徒や、主人公の幼なじみのフツーにかわいい女の子がいるし、留学生としてカナダからは万能MTB選手がやってくる。とにかく主人公以外は皆さん個性派ぞろいなのだ。ホント、このままアニメにできそうな連中ばかりである(笑)。
自転車漫画だってここまで荒唐無稽な舞台はつくらないでしょ!という感じの設定なのだが、だからこそ、これだけ派手な自転車レースの場面ができるのだろう。リアルな設定をつくっていたら、もっとみみっちい話にならざるを得ないから。このくらい大風呂敷を広げてもおもしろいのだからオッケーなのだ。
全何巻で完結する話なのかは知らないが、「起承転結」でいえば第2巻は「転」ではないかと思う。大好きだったはずの自転車でつまずいて、苦悩の末に新たな希望を見出した洋はこれからどうするのか!?が、たぶん3巻目の物語。いや、もしかしたらまったく違うのかもしれないけど。
第2巻はひたすら学園もので、洋の出生にまつわるエピソードが何もなかった。3巻目ではそのへんも描かれるのかもしれない。いずれにせよ、早いところ3巻目を出してもらわないと。もしかしたら3巻目では洋はすでに南雲学院を卒業して、実業団で走ってるかもしれないけどね。
- 関連記事
-
- エルゴラとサカダイ (2009/06/30)
- Jリーグサッカーキング (2009/06/26)
- 週末はTV三昧 (2009/06/01)
- 「セカンドウィンドII」 (2009/04/14)
- サッカー 誰かに話したいちょっといい話 (2009/03/02)

にほんブログ村